花粉を運ぶ虫(ハチやアブ)が動けない植物の受粉(虫媒花)に大いに役立っていることは有名な話。でもその運び手が違うと植物の進化事態に影響があることをスイス・チューリッヒ大学の研究チームが「ネイチャー・コミュニケーションズ」(3月14日付)に発表しています。菜の花の仲間のブラッシカ・ラパ(アブラナ科の野草・種まきしてから約40日で次の種を取ることができます)をつかって温室内で①人の手②マルハナバチ③ハナアブのそれぞれに11世代にわたって花粉を媒介させて比較実験を繰り返した結果、マルハナバチの系統は人の手で媒介した系統より、花の香り成分が多く草丈も高い、のに反しハナアブの方は香りも弱く草丈が低いということが実証されたということです。で、ここからがびっくりポンの話。良い結果をもたらしたマルハナバチの系統はマルハナバチをより引き付けて受粉に成功し、あまり有効な媒介者とは言えなかったハナアブの系統は自家受粉に成功しやすく進化したというのです。ただ運んで受粉を助けているだけではなく、花粉の媒介者が植物の進化に大いに影響を与えていたのです。