現代人は医学の発展とともに寿命を延ばしてきました。抗生物質や鎮痛剤は今や必需薬品です。人体(私は体重65㎏)、こんな私に効果(影響?)があるのですから微生物なんか一たまりのありません。そう思いませんか? でも薬物なんぞに負けないぞ!と、強く生き残る極小生物もいるのです、耐性を獲得して!
害虫に対する駆除薬剤はしばしば耐性が問われます。特に樹木に付く害虫退治を仕事の一部としている人間として同じ樹木(同じ害虫)への「同じ薬剤の連続施用」はいつも考ている問題です(私は「京都府農薬管理指導士」「和歌山県農薬アドバイザー」の資格認定を受けています)。強力な薬剤の攻撃は毛虫のような小さな生き物はいちころです、が人にも もちろん有害(特に子供や老人・病人)ですので、むやみな設計散布はやめ散布時には風向きや人の立ち入りには大変気を使います。時には薬剤を変えて天敵剤をつかったりもします。
で、気になる報告が米国研究グループが生態学誌『エコスフィア』(1月9日付)に発表した「人間が使用した薬剤による微生物への影響」です。下水処理場で下水中の薬剤をなくすことは出来ていません、河川に流れ込む薬剤は都市化が進んでいるところほどさまざま検出されています。郊外を流れる河川より都市部を流れる河川の方がその濃度は高いのです。河底の岩や石ころには当然様々な微生物が棲んでいます。これらの微生物に与える影響を研究グループは調べました。そうです「耐性が備わっている」ものが存在増加していたのです。人口が多い町に近く薬剤濃度が高い河川ほど耐性の持つ微生物が増え、耐性のないものは生きていけなくなることが確認されました。そのことから人が体内を通過させて輩出した薬剤で河川の微生物の種類に変化を与える可能性が出てきたのです。よく知られているように微生物は有機物の分解等生態系の維持に重要な役割を担っています。心配しすぎかもしれませんが、「生態系の異変」特に急激な変化は地球環境全体にも影響を与えかねません。