風媒花や虫媒花はよく知られています。自ら移動できない植物が風や虫・獣の力(時には人間も)を借りで生息圏を拡大しているというやつ。さて、今回は神戸大学の研究グループが発表した論文(アメリカ科学誌『エコロジー』5月29日付電子版)が話題です。小枝に擬態した容姿の昆虫「ナナフシ」等は羽のないものが多く、これまで「移動能力は極低いもの」とされてきました。論文によりますと「ナナフシのメスの体内にいた卵が鳥に捕食された後も消化されずに生き残り、分布域を拡大させた」というのです。普通、鳥に捕食されると親ともども卵も消化されてしまうものと考えられていました。鳥や虫が食した「草花の実(種)」を糞と一緒に遠くまで運んで発芽すること(虫媒花)はよく知られていましたから、あっても不思議ではないと思います。例えば草木の種(たね)のように固い丈夫な卵なら消化されずに、糞と一緒にひり落されるということ(その後孵化する)はあるかもしれません、がその後が課題満載です孵化した後、雛が餌場まで自力でたどり着くのは「結構至難の業!」ではないかと思うからです。さらに鶏など「砂肝」のある鳥に食べられると生き残れませんから、ヒヨドリなど「すり潰す内臓機能」がない鳥に食べられることがその前提条件に加わります。実験では3種の卵をヒヨドリに食べさた結果、5~20%の卵が無傷で排便への混入が確認され、このうち1種(ナナフシモドキ)だけが孵化したとのことですが「餌場が遠い」とたどり着く前に再度捕食されてしまうのではないかと重ね重ね心配です。二度食べられることになるのですから。