生息地(オーストラリア)に限らず、世界の人気者「コアラ」の保護・保全を目的にコアラの全遺伝情報(ゲノム)の解析を進めてきた国際研究チームによる『ネイチャー・ジェネティクス』(7月2日付)への発表によると、「コアラも人も」生後間もなく与えられる母乳が病原菌に対する抗菌作用をする物質を与えられているらしいのです。
ユーカリの葉は有毒な物質や消化しにくい物質を含む事はよく知られています。そのユーカリの葉だけを一日800gも大量に食べるのは生物の中でコアラだけです。この不思議を解明すべく研究グループは2013年から7ヵ国54人の研究者が「コアラのゲノムの解読」に挑んできました。そして解ったことは、コアラのゲノムはヒトよりもやや大きい35億の塩基対からなり、2万6千以上の遺伝子を持つこと、そしてこれらの遺伝子の中には、解毒に重要な働きを持ち、さらに「特に肝臓で発現している!」ことを突き止めました。その遺伝子は重複しており、さらに解毒の作用を強める効果があるといいます。コアラは生後(妊娠から35日で生まれます)半年間は母親の袋の中で母乳を飲んで成長します(有袋類といいます)。母親が分泌する乳の成分が発達段階で変化し、特に生後間もない乳児に病原菌に対し抗菌作用をする物質をあたえるらしいのです。つまり「母が抗菌作用をする物質を乳児のうちに与えている」仕組みなのです!