ドングリなど「種子の発芽」という植物の拡散・増殖戦略。
落ちてその場であるいは、運ばれて(風や虫や鳥、たまには人に)別の場所で、植物の生き残りをかけた拡散増殖計画が功を奏して、一斉に発芽を始めることがあります。
木の実等、全く発芽の気配すらなかったのにある日気づくと育苗ポットに目が出ていてびっくりすることが今までにも何度かありました。
「スーパーブルーム」。それは、年間降雨量が約50㍉程度の乾ききった大地、米カリフォルニア州デスバレーでみられる「雨が降った時に一斉に発芽する」農業など人為的ではない自然の営み。
このらの現象を研究するドイツ・ミュンスター大学のグループが昨年12月27日に研究成果として発表し『米科学アカデミー紀要』電子版に掲載されているのが、いわば「植物の種子発芽のスタートを促すONスイッチの発見」です。研究グループは水分を与えたときに種子の細胞の中で起こった化学反応を可視化することで突き止めたといいます。
雨が降った時に種子の中でどんなことが起きているのかを調べるため、化学物質が蛍光を発するように工夫をし、蛍光顕微鏡で種子を観察。水を与えた種子と与えない種子とを比較することで種子が水と接触する数分間で細胞内の「エネルギー工場、小器官ミトコンドリア」でエネルギーが放出され、急速に発芽のプロセスが開始されたということです。これには、たんぱく質システインで起こる酸化還元反応がスイッチの役割を果たしているこもが明らかになりました。
研究成果は「種子の発芽を効率よく起こさせること」で、今後の農業分野への応用が期待できるでしょう。